茅ヶ崎市のやまもと内科クリニック
糖尿病専門医、総合内科専門医の院長が診察しております
高い血糖値が続くと、症状がなにもなくても、合併症が進んでしまいます。
糖尿病の合併症には
があります。
細い血管の合併症は、糖尿病に特有の合併症です。
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害と3つの合併症があるので、3大合併症と呼ばれています。
目の奥の網膜の障害です。
毎年、約3000人の方が、糖尿病性網膜症で失明しています。
高い血糖値が続くと、網膜の細い血管がダメージを受けます。ダメージを受けた血管がつまったり、血管から出血したりします。網膜剥離を起こすこともあります。
糖尿病性網膜症も初期のうちは全く症状がありません。症状が出たときには糖尿病網膜症がかなり進行しています。症状が出る前に、定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けることが大切です。
糖尿病性網膜症を早く見つけ、適切な治療を受ければ、糖尿病性網膜症の進行を抑えることができます。
糖尿病性網膜症を予防し進行しないようにするためには、良い血糖値を保ち、定期的に眼科を受診することが大切です。
尿を作っている腎臓の障害です。
糖尿病性腎症のため、毎年、約16,000人の方が新たに人工透析を始めています。
糖尿病性腎症も初期のうちは全く症状がありません。症状が出たときには糖尿病性腎症がかなり進行しています。
糖尿病性腎症を早期に見つけるためには、血液検査よりも尿検査が大切です。糖尿病性腎症がおこると、尿に蛋白が出てきます。尿アルブミンと呼ばれる尿検査を行うと、初期の糖尿病性腎症を見つけることができます。
正常 | 微量アルブミン尿 | 顕性アルブミン尿 | |
---|---|---|---|
尿中アルブミン排泄量 | 30未満 | 30~299 | 300以上 |
微量アルブミン尿が出ている状態が、初期の糖尿病性腎症です。通常の尿検査ではわからないことが多いです。
糖尿病性腎症を予防し進行しないようにするためには、良い血糖値、良い血圧を保ち、定期的に尿検査、尿アルブミンの検査を受けることが大切です。
高い血糖値が続くと、全身の様々な神経がダメージを受けます。
特に両足の神経がダメージを受けやすく、両足がしびれる、両足が痛くなる、両足の感覚が低下する、砂利道の上を歩いている感じがする、両足に紙が張り付いている感じがするなどの症状が出ます。
自律神経がダメージを受けると、胃のもたれ、がんこな便秘、下痢、ED(勃起障害)など、さまざまな症状が出ます。
糖尿病性神経障害を予防し進行しないようにするためには、良い血糖値を保つことが大切です。
細い血管合併症を防ぐためには、血糖コントロールを良くしておくことが大切です。ヘモグロビンA1cを7.0%未満に維持していると、細い血管の合併症は起こりにくいといわれています。
太い血管の合併症とは、動脈硬化のことです。
糖尿病に特有の合併症ではありませんが、糖尿病の方は、動脈硬化が起こりやすくなります。糖尿病でない方と比べると2-4倍おこりやすくなるといわれています。
糖尿病予備軍、軽症糖尿病など血糖値が少しだけ高いだけでも、動脈硬化は進みやすくなります。特に、食事の後の血糖値が高くなる方は、動脈硬化が起こりやすくなります。
血糖値が高いのに加え、高血圧、高脂血症をお持ちの方、タバコを吸われる方は、動脈硬化がおこりやすくなります。
糖尿病だけではなく、高血圧症、高脂血症の治療も一緒に行うことが大切です。
これらの合併症を防いで、糖尿病がない方と同じように、健康を維持することが糖尿病を治療する目的です。
すでに、合併症が出ていても、それ以上進まないようにすることが大切です。
そのためには、血糖値を上手にコントロールすることはもちろん重要ですが、高血圧、高脂血症(コレステロールが高い、中性脂肪が高い)がある場合には、高血圧、高脂血症の治療も必要です。
細い血管の合併症、太い血管の合併症を、もう少し詳しく見ていきましょう。
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