糖尿病は初期のうちにはあまり症状がありません。
糖尿病の自覚症状には、血糖値が高くなることにより起こる高血糖症状と糖尿病の合併症により起こる症状があります。
- 血糖値が高くなることにより起こる症状(高血糖症状)
- 糖尿病の合併症により起こる症状
高血糖症状
高血糖により、さまざまな症状が起こります。
- 尿の回数、量が増える
- のどが渇く
- 水分を多く摂る
- 体重が減る
- つかれやすい、だるい
血糖値が160-180mg/dl以上になると、尿中に糖が出ます。尿中に糖が出ると、水分も一緒に出てしまいます。そのため、尿の回数、量が増えます。尿が増えるため、体は脱水となり、のどが渇きます。のどが渇くので水分を多く摂るようになります。尿中に糖(=栄養分)が出るため、体重が減り、疲れやすくなったり、だるくなったりします。
高血糖症状が出たときは、すでに血糖値がかなり上がっています。糖尿病の「初期」を血糖値があまり高くない時、という意味で使っているのであれば、初期のうちにこのような自覚症状は出ません。ただし、糖尿病になってからあまり時間が経たずに、急激に血糖値が上がり、高血糖症状が出ることはあります。
急性発症1型糖尿病は発症後数ヶ月で高血糖症状が出ます。劇症1型糖尿病では発症後数日で高血糖症状が出ることがあります。2型糖尿病でも、糖の含まれた飲料水を飲むことにより、急に血糖値が上昇し、高血糖症状がでることがあります。
高血糖症状が出たときは、かなり血糖値が上がっているので、すぐに医療機関を受診しましょう。
健診で血糖値が高いことを指摘された場合は、高血糖症状がなくても糖尿病を発症し、場合によっては糖尿病がすで進行している可能性もあります。健診で血糖値が高い場合は、医療機関を受診しましょう。
糖尿病合併症の症状
糖尿病に特有な合併症(糖尿病細小血管合併症)には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害があります。糖尿病大血管合併症として、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化が起こります。糖尿病に特有な合併症も初期にはほとんど自覚症状がありません。症状がなくても合併症が進んでいることがあります。
糖尿病性網膜症では視力の低下を自覚する前に、目の奥の網膜で合併症が進んでいます。眼科を受診すれば、症状が出る前に合併症が出ているかどうかがわかります。
糖尿病性腎症では、むくみやだるさなどの症状が出る前に、腎臓で合併症が進んでいます。尿検査でアルブミン尿を調べると初期の糖尿病性腎症を診断することができます。
糖尿病性神経障害は、全身の神経に合併症が起こるため、足のしびれ、痛み、胃のもたれ、がんこな便秘、下痢、尿の出が悪い、ED(勃起障害)、立ちくらみなど様々な症状が出ます。
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害も初期には症状はありません。症状が出ていない段階でも、検査をすると合併症がでているかどうか調べることができます。
糖尿病の初期症状のまとめ
糖尿病は初期のうち(血糖値があまり高くない時期)にはあまり症状はありません。症状がなくても、糖尿病は進行しています。
糖尿病の合併症も初期のうちにはあまり症状がありません。症状がなくても、糖尿病合併症が進んでいることがあります。
健診で血糖値が高い、HbA1cが高いと判明したときは、自覚症状がなくても糖尿病が発症し、場合によってはすでに糖尿病が進行している可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
自覚症状があるときはすぐに医療機関を受診しましょう。
インスリンを作っているすい臓のβ細胞が破壊されるタイプの糖尿病が1型糖尿病です。
いわゆる生活習慣病のタイプの糖尿病が2型糖尿病です。
1型糖尿病には下記のタイプがあります。
- 急性発症1型糖尿病
- 劇症1型糖尿病
- 緩徐進行1型糖尿病
劇症1型糖尿病では発症後1週間以内に高血糖症状が出ることが多いです。1ヶ月前の健診で正常でも、数日で糖尿病になることもあるので、高血糖症状があるときはすぐに医療機関を受診しましょう。