糖尿病関連の検査で、1,5-AG(イチゴエージー)という検査があります。
糖尿病の治療で、血糖値の良し悪しをみる検査の代表はHbA1cです。1~2ヶ月前から現在までの血糖値の良し悪しがわかります。糖尿病の合併症を予防するためには、HbA1cが7.0%未満になるようにコントロールします。
血糖正常化を目指す際の目標 | 合併症予防のための目標 | 治療強化が困難な際の目標 | |
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HbA1c | 6.0%未満 | 7.0%未満 | 8.0%未満 |
GA(グリコアルブミン)は、2週間前から現在までの血糖値の良し悪しをみる検査です。
1,5-AGはもっと短期間の血糖値の良し悪しをみる検査で、GA(グリコアルブミン)が上下する前に変化します。
1,5-AGは尿糖を反映している検査
1,5-AGは実は血糖値そのものを反映している検査ではなく、尿糖を反映している検査です。
1,5-AGは尿糖が多く出ると低くなり、尿糖が出ないと高くなる検査です。
血糖値が160-180mg/dlを超えると通常は尿糖が出ます(個人差があります)。
1,5-AGが低いということは、血糖値が160-180mg/dlを超えている時間が長いということです。
1,5-AGが高いということは、血糖値が160-180mg/dlを超えている時間が短いということです。
1,5-AGと食後血糖値
空腹時の血糖値は比較的良くても、食後1~2時間の血糖値は高い方がいらっしゃいます。血糖コントロールが良くなってくると空腹時の血糖値は下がりやすいですが、食後血糖値は最後まで下がりにくいです。このような方は、空腹時や食後3時間以降に採血をすると血糖値は良く、HbA1cも比較的良いことが多いです。
そこで、1,5-AGの出番です。食後1~2時間の血糖値が高いと、1,5-AGは低くなります。1,5-AGは食後血糖値の良し悪しがわかる検査なのです。
HbA1cやGA(グリコアルブミン)は血糖コントロールが良いと下がる検査ですが、1,5-AGは血糖コントロールが良いと上がり、血糖コントロールが悪くなると下がる検査です。
血糖値、HbA1cが良いのに、1,5-AGが低い場合は、食後血糖値が高くなっていることが疑われますので、食後1~2時間の血糖値を測定してみると良いでしょう。
1,5-AGは血糖値が比較的良い人に向いている検査
常に血糖値が160-180mg/dlを超えている方は、1,5-AGが低い値になり、多少血糖値が良くなっても1,5-AGはあまり変化しません。1,5-AGは血糖コントロールが悪いときには向いていない検査です。
1,5-AGは比較的血糖値が良い人に向いている検査です。1,5-AGは短期間に変化しやすく、食後血糖値の良し悪しが推測できます。
まずはHbA1cが良い値になるように治療をして、HbA1cが良くなったら、1,5-AGも検査を受けると良いでしょう。
1,5-AGに影響する糖尿病治療薬
1,5-AGはα-グルコシダーゼ阻害薬のアカルボース、グルコバイを内服していると低く測定されます。また、SGLT2阻害薬を内服していると、低く測定されます。SGLT2阻害薬は尿に糖を出して、血糖値を下げるお薬です。尿糖が増えるので、1,5-AGは低くなります。
従って、α-グルコシダーゼ阻害薬のアカルボース、グルコバイやSGLT2阻害薬を内服している場合は、1,5-AGは血糖の良し悪しを判定するのには向いていません。
α-グルコシダーゼ阻害薬やSGLT2阻害薬については、糖尿病の飲み薬(経口血糖降下薬)を参考にしてください。
- 比較的血糖値が良い方に向いている検査です。
- 短期間の血糖値の良し悪しがわかります。
- 特に、食後血糖値が良いかどうかがわかります。
- 一部の糖尿病治療薬内服中は低い値になります