糖尿病のお薬を飲んで体重が増えた経験はないでしょうか?
血糖値が高くなると(160-180mg/dl以上)、尿に糖(尿糖)が出ます。
糖=栄養分が尿に出るので、身体の栄養分が失われ、体重が減ります。
したがって、糖尿病で血糖値が高くなると体重が減りやすくなります。
糖尿病の治療をして、血糖値が良くなると、徐々に尿糖が出なくなります。
尿糖が出ないと、食べた分だけ身体に栄養分が残るようになります。
血糖値が良くなると、体重が減りにくくなります。
体重が増えやすくなったのではなく、本来の健康な状態に戻ったのです。
糖尿病のお薬を飲み始めても、食事、運動療法に気をつければ、体重をコントロールできます。
そうはいうものの、体重のコントロールは難しいという方も多いのではないでしょうか?
糖尿病治療薬には体重が減りやすいお薬、体重が増えにくいお薬、体重が増えやすいお薬があります。
- 体重が減りやすいお薬
- 体重が増えにくいお薬
- 体重が増えやすいお薬
今回は体重に注目して糖尿病治療薬を分類します。
体重が減りやすい糖尿病治療薬
体重が減りやすい糖尿病治療薬には、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬があります。
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は、尿に糖を出して、血糖値を下げるお薬です。
尿に糖(栄養分)が出て、糖(栄養分)が失われるため、体重が減ります。
一般名 | 商品名 |
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イプラグリフロジン | スーグラ |
ダバグリフロジン | フォシーガ |
ルセオグリフロジン | ルセフィ |
トホグリフロジン | アプルウェイ、デベルザ |
カナグリフロジン | カナグル |
エンパグリフロジン | ジャディアンス |
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬には、様々な作用があります。
食欲を抑えて体重を減らしつつ、インスリンの出を良くして血糖値を下げるお薬です。
飲み薬ではなく、注射薬です。
毎日ではなく、週に1回の注射すればよいお薬もあります。
- 血糖値が高いときに、すい臓からインスリンが出やすくなる
- 血糖値を上げる作用のあるグルカゴンが出るのを抑える
- 胃の動きを抑える
- 食欲を抑えて、体重を減らす
1日1-2回注射のGLP-1受容体作動薬
一般名 | 商品名 |
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リラグルチド | ビクトーザ皮下注 |
エキセナチド | バイエッタ皮下注 |
リキシセナチド | リキスミア皮下注 |
週に1回注射のGLP-1受容体作動薬
一般名 | 商品名 |
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エキセナチド | ビデュリオン皮下注 |
デュラグルチド | トルリシティ皮下注 |
セマグルチド | オゼンピック皮下注 |
体重が増えにくい糖尿病治薬
体重が増えにくいお薬には、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬、α-グルコシダーゼ阻害薬があります。
ビグアナイド薬は、体重が減りやすいお薬に分類してもいいかもしれません。
ビグアナイド薬
肝臓で糖が作られるのを抑えるお薬です。
体重が増えにくい、または、体重が減りやすいお薬です。
低血糖も起こしにくいお薬です。
一般名 | 商品名 |
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メトホルミン塩酸塩 | メトグルコ、グリコラン |
ブホルミン塩酸塩 | ジベトス、ジベトンS |
DPP-4阻害薬
血糖値が高いときに、すい臓からインスリンを出して、血糖値を下げるお薬です。
血糖値を上げる作用のあるグルカゴンが出るのを抑えます。
体重が増えにくいお薬です。
低血糖も起こしにくいお薬です。
一般名 | 商品名 |
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シタグリプチン | ジャヌビア、グラクティブ |
ビルダグリプチン | エクア |
アログリプチン | ネシーナ |
リナグリプチン | トラゼンタ |
テネリグリプチン | テネリア |
アナグリプチン | スイニー |
サキサグリプチン | オングリザ |
トレラグリプチン | ザファテック |
オマリグリプチン | マリゼブ |
α-グルコシダーゼ阻害薬
食べ物の糖分の吸収をゆっくりにするお薬です。
食後に血糖値が上がるのを抑えます。
体重が増えにくいお薬です。
低血糖も起こしにくいお薬です。
一般名 | 商品名 |
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アカルボース | グルコバイ |
ボグリボース | ベイスン |
ミグリトール | セイブル |
体重が増えやすい糖尿病治療薬
体重が増えやすい糖尿病治療薬には、チアゾリジン薬、SU薬があります。
チアゾリジン薬、SU薬を内服するときは、食事療法、運動療法を行い、体重が増えないようにしましょう。
チアゾリジン薬
インスリンの効き目を良くして血糖値を下げるお薬です。
むくみや体重増加に注意が必要です。
低血糖は起こしにくいお薬です。
一般名 | 商品名 |
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ピオグリタゾン塩酸塩 | アクトス |
SU薬
すい臓からインスリンがよく出るようにして、血糖値を下げるお薬です。
食事療法がうまくいかないと、体重が増えることがあります。
低血糖を起こすお薬なので、注意が必要です。
低血糖の詳細については、低血糖をご覧ください。
一般名 | 商品名 |
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グリメピリド | アマリール |
グリクラジド | グリミクロン |
グリベンクラミド | オイグルコン、ダオニール |
糖尿病治療薬の一般的な分類
今回は、体重に注目して、糖尿病のお薬を分類しました。
糖尿病のお薬は、一般的には、お薬の作用で分類されています。
糖尿病治療薬(飲み薬)の一般的な分類
- インスリン抵抗性改善系(ビグアナイド薬、チアゾリジン薬)
- インスリン分泌促進系(スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬、DPP-4阻害薬)
- 糖吸収・排泄調節系(α-グルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬 )
詳細は、糖尿病の飲み薬を参照して下さい。
糖尿病の注射薬については、インスリン、GLP-1受容体作動薬を御覧ください。